生態系への配慮

私達人類の生活は、自然の恵みによって支えられています。この恵みを未来へ繋げるためにも、私達人類も生態系の一部であるということを認識し、生物多様性の損失を阻止するための取り組みを一層強化していく必要があります。当社は事業所内外での生物多様性の取り組みや、化学物質や水資源の適正な管理を通して「ネイチャーポジティブ」な社会への貢献を目指します。

半導体製造工程では様々な化学物質を使用します。製造工程で使用した化学物質は、排ガス処理装置や水処理施設による無害化を行い、国が定めた基準に対して厳しい自主管理基準を設定し、放出・放流することで生態系への影響を防いでいます。また、使用する化学物質は、規制物質の含有有無の確認と共に、法令等各種規制への適合を確認する環境影響事前評価を行った上での選定と使用量削減や制限、代替化を通して環境への影響を最小限に留めるように取り組んでいます。

当社では化学物質の排出による生態系への影響を最小限に留めるように、化学物質環境排出量の中長期削減数値目標を立て、施策の立案と積み上げにより排出量の削減と使用量の抑制を推進しています。半導体の需要拡大による生産ラインの増強により、今後、化学物質の使用量の増加が見込まれますが、使用の抑制と生産プロセスの改善により更なる削減に取り組んでいきます。

半導体製造工程では様々な化学物質を使用します。本施策では、リソグラフィ工程（加工のための一時的な成膜を行う工程）にて、有機溶剤の削減に取り組みました。当該工程では、成膜の際に、ウエハー裏面に成膜されないようにするため、洗浄液を吐出していますが、ウエハーのサイズ・側面の形状、成膜する薬品の性状を考慮し且つ、製品の品質を保ちつつ、洗浄液の吐出時間を最適化し、使用量の削減を行いました。

製造工程並びに製品で使用する化学物質を対象に、規制物質の含有を確認し、材料選定や法令等の各種規制への適合を確認する環境影響事前評価を実施し、購入並びに使用しています。購入に際しては調達取引先様から、環境負荷の小さい製品・部品・材料などを調達するグリーン調達を優先度の高い取り組みと考え、調達取引先様にご協力いただきながら購入しています。

半導体の製造にはウエハーの不純物除去を目的とした洗浄工程や製造装置の稼働に必要な冷却水、薬品の希釈など、非常に多くの水を使用します。生態系を支える水の使用量を削減するために、当社では化学物質などを含んだ有害な排水を排水処理施設で無害化して排出すると共に、再利用が可能な排水については回収し、インフラとして再利用する等の取り組みにより水の使用量を削減しています。また、各種製造装置等に供給する使用量の最適化も行い削減も行っています。

限りある水資源の使用量を削減するために、水受入量の中長期削減数値目標を立て、施策の立案と積み上げにより水受入量の削減を推進しています。半導体の需要拡大による生産ラインの増強により、今後、水受入量の増加が見込まれますが、使用の抑制と生産プロセスの改善により更なる削減に取り組んでいきます。

スクラバーとは有害ガスを水に吸収させて取り除き、無害化した空気として排気する設備です。本施策では、スクラバーにガスを送る排風機の風量を適正な処理能力(風量)へ最適化することにより、蒸発量の抑制とpH調整で使う水使用量の削減を実現しました。

当社では製造工程の排水を再利用することで水使用量の削減に取り組んでいます。再利用可能な排水は中継タンクで貯留し、スクラバーの補給水など、半導体の品質に影響を与えない設備で有効に再利用しています。2024年4月に完成した新製造棟でも同様の再利用システムを導入しており、スクラバーのほか冷却塔設備で再利用を行っています。